科学研究活動は自然および社会の
諸現象・諸行動を対象とし、対象を対象たらしめている仕組みや運動の法則性を解明し、対象をより深く認識する理論的活動である。
実験はこの理論的活動の一環として、当該科学が対象とする研究対象に直接・間接に働きかけ、対象を理論的活動のなかに取り込んでくる実践的役割を担う。
したがって、実験は、本来、単なる研究の手段や操作という狭いものではなく、理論的活動の不可欠の構成部分をなす。
観察・観測・計測や発掘・探査・フィールド調査などデータ収集活動も実験的活動であり、自然科学のみに特有な活動ではないが、ここでは自然科学分野の実験について扱う。
科学研究活動は「理論」と「実験」とに分離できるものとする考え方もあるが、これは理論分野と実験分野の職業的分業の進展に目を奪われた錯誤である。
論理的思考による「理論」的活動と手段や操作をもって対象に働きかける「実践」的活動が、ときによってどちらか一方に偏ることもあるが、対象を認識する活動そのものは、けっして手段や操作にとどまるものではなく、両者は統一されているものである。